悩んでいる看護師たち

看護師さんがストレスを感じる時というのは一体どういう場面なのでしょう。

● 人間関係がつらい

 看護師は24時間患者さんの命と健康を守るために、一生懸命に仕事をしてくれています。ミスをしてはいけない命に関わる作業もあるため、大変な集中力を必要としますし、高いストレスのなかで長時間勤務しています。
 それだけではなく、人間関係も看護師の仲間同士、医師・患者・患者の家族等、大変人間関係が入り込んでいて複雑です。看護師の中には、上司からのパワハラを受けている人、陰湿ないじめ、中途採用者に対する執拗な腕試し等、大変深い悩みや辛さを抱えている人もいます。
 さらに、病院は常に生死に関わる仕事ですから、長い間看護してきた人が亡くなってしまえば大変つらい思いもします。何度経験してもなれることはないといいます。

● ミスが絶対に許されない

 看護師が取り扱っている点滴や薬剤は、単位をひとつ間違っただけで、患者さんに多大な影響を与えてしまうものも多くあります。看護師だけのミスではなく、医師の指示ミスということもあります。言われたまま指示されたまま動くだけでなく、自分でも患者さんの病気の状態や治療の経緯を細かくチェックしていくことも大切です。
 
 ミスを犯してしまうと、どんなに小さなミスであっても手が震え、患者さんにすまないという気持ちと怖いという気持ちでいっぱいになってしまいます。それでも看護師としてこなさなければならない仕事は山のようにあります。
 どうにか気持ちを切り替えて、二度と同じミスを繰り返さないよう、ダブルチェックや確認方法などを見直して努力していかなければなりません。
 不安を消すために、自信を持って処置できるようしっかりと勉強したいと、日々努力をしている方がたくさんおられます。

● 指導が行き過ぎて…

 就職したての新人看護師に対してマンツーマンで先輩看護師が指導を当たる「プリセプター制度」というものがあります。
 これは、新人看護師のほとんどが陥ってしまう「リアリティーショック」、夢描いていた理想の看護師の仕事と現実の仕事とのギャップで働く意欲を失ってしまう事を避けるため、先輩看護師がつきっきりで技術的な指導だけでなく悩みをきいて心の面でもサポートしていくために作られた制度です。

 大変良い制度なのですが、聖職と言われる看護師であっても、人として合う合わないというのはどうしてもあります。例えば、「厳しく指導することがこの後輩の将来のためになる」と、あえて厳しく指導していたのに、「先輩にいじめられて…」と勘違いされる。または、新人看護師は、現場ではもちろん寮に帰ってからも教えてもらったことを復習して必死に勉強しているのに、「いつまでたっても覚えない新人」と誤解されたり、様々な食い違いから人間関係がこじれていってしまうということもあります。

● 先輩看護師も悩んでいる

 実はプリセプターの指導者もかなり悩んでいます。「ゆとり世代」ということばがありますが、この世代以降の方は「努力しなくても褒められて個性を認められて教育されている」世代です。親にも教育者からも叱られた経験があまりない人が多く、非常に過敏に反応してしまう人がいます。「努力と勉強こそが道を開く」「厳しく指導するのも愛」といった考え方が伝わりにくいということもあります。
 そのため、命に関わる処置に関する失敗をしてしまったときは厳しく指導しなければなりませんが、頭ごなしに「なにやってんの!」とガーガー大声で叱責してしまうと思わぬ人間関係のトラブルになってしまうこともあります。
 看護師として素晴らしい方であっても、合う合わないは必ずあります。指導される側も指導する立場でも「自分が未熟なせいかも…」と自分を責めてばかりで言わないでいると誤解されたままになってしまいます。つらい、苦しいと思っていることがあれば、腹を割ってよく話し合ってみるのも大切なことです。

● 残念ながらいじめもある

 看護師は一般の職業よりも女性の割合が多く、さらに階級が明確にありますので、非常に人間関係が悪くなってしまう場合があります。
 看護師はとくにチームで看護を行っていますから、一度変な噂がたったり、上司がいじめの主だったりすると大変な思いをすることがあります。
 ミス等を指導する際、命に係わる大変重大な処置に関することもありますから、指導は厳しくなってしまいます。けれども、必要以上にもう数か月前に起きたことなのに、いつまでもねちねちと何度もみんなの前で言われ、次第に孤立を深め、患者のケアで把握しておかなければならない情報に関しても、伝えてもらえず、仕事にも支障をきたしてしまうといったこともあります。

● 退職の連鎖が…

 新人看護師が入ってきても、1年間持たないことがざら…。そういう病院もあるようです。突然看護師が一人やめてしまうと、再び補充の看護師が採用されるまでは残った看護師で作業を分担しなければなりません。そのため、一人の負担がみんなにかかり、さらに一人、また一人と体や心を壊して退職・求職していってしまうという負の連鎖が起こってしまう場合もあります。

 看護師はただでさえ高いストレスの中仕事をしています。その上過重労働になってしまうことで、人間関係までギクシャクしたり、悪化してしまったりといったことも起こってきます。このような事態が起こってしまったとき、皆さんはどのようにして乗り越え、回避してきたのでしょうか。ストレスを自分で抱えることなく、掲示板や人に相談するなどして解決法を探ることが大切です。

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